052-228-7981 [月~金]8:30~17:30 [土日祝]事前予約のみ

在日韓国人の相続手続サポート

在日韓国人の相続

「在日韓国人(被相続人)」が日本で死亡した場合、相続手続は多少複雑になります。これは両国の法律の違いがあるためです。 そこで、被相続人が「特別永住者として日本生まれ日本育ち」であっても適用される法律は「遺言書の有無」によって大きく分けられます。
※在日コリアンには韓国籍と朝鮮籍の方が含まれておりますが、このページは「韓国籍」を基準に記載していきます。

遺言書がない場合

生前に遺言書を作成しなかったり、遺言書が見つからない場合は、法定相続人が被相続人の遺産を相続します。 日本の通則法によれば、相続の準拠法は「被相続人の本国法による」(通則法第36条)とされておりますが、在日韓国人にはどのように適用されるでしょうか。 韓国国際私法<第49条1項>には「相続は、死亡当時の被相続人の本国法による。」と定められています。 したがって、在日韓国人が日本で生活していても遺言書を作成していなければ、相続は「韓国の民法」によって行われるのが原則です。

遺言書がある場合

遺言書があれば、遺言書の内容をもとに相続が行われますが、重要なのは遺言書中に相続の方式を定めているかどうかです。 日本で生まれて、日本で育った在日韓国人の方の場合は生活の基盤が日本にあるので、相続も日本の民法によるものであってほしい場合は遺言書中に「相続は日本の民法によるものとする」と書いておいた方が望ましいです。 どの国の法律を適用させるかをあらかじめ定めておくということになります。

韓国民法による法定相続人の順位

優先相続人 順位 法定相続人 備考
配偶者 直系卑属(子/孫) 配偶者は常に優先相続人になる
直系尊属(親/祖父母) 直系卑属(子/孫)がいない場合、相続人になる
兄弟姉妹 直系卑属および直系尊属がいない場合、相続人になる
4親等以内の傍系血族(叔父・叔母・甥姪・いとこなど) 上記1~3がいない場合、相続人になる
配偶者+直系卑属(子/孫) 配偶者は常に優先相続人になる
配偶者+直系尊属(親/祖父母) 直系卑属(子/孫)がいない場合
配偶者+兄弟姉妹 直系卑属および直系尊属がいない場合
配偶者+4親等以内の傍系血族 上記1~3がいない場合(叔父・叔母・甥姪・いとこなど)

在日韓国人相続のやるべきこと

在日韓国人が日本で死亡した場合、相続手続きは何から始めればいいか分からず、多くの時間を費やしてしまうことが多々あると思います。大まかな手続きや確認作業は下記の通りになるかと思います。

  • 死亡申告(韓国と日本両方)
  • 韓国戸籍の取り寄せ
  • 遺言書有無の確認
  • 財産の把握
  • 相続の協議(相続放棄含む)
  • 預貯金口座や年金受給など

在日3・4世の方は日本生まれ日本育ちの方がほとんどであるため、韓国語の読み書きができない方もたくさんいらっしゃいます。 領事館での手続きはハングルによる各種届出/申請書作成が必要になってきます。(※大阪では漢字でも可能ですが、「登録基準地」や「韓国姓名」を正確に知っておかないと請求できません。)

相続手続に必要な韓国戸籍の集め方

相続手続で最初にぶつかる難問は「韓国戸籍」の収集です。 韓国籍の方の相続が発生すると、「被相続人」の出生から死亡までが記載されている戸籍と被相続人と相続人の家族関係を示す書類を取得する必要があります。 2008年に韓国の戸主制が廃止され、「戸籍謄本」は「除籍謄本」になりました。 その代わり、家族関係登録制度の導入により、家族関係登録等証明書が発行されるようになりました。 家族関係登録事項別証明書には以下の種類があります。

家族関係登録事項別証明書の種類

  • ①基本証明書
  • ②婚姻関係証明書
  • ③家族関係証明書
  • ④養子縁組関係証明書
  • ⑤親養子縁組関係証明書

⑤は原則、本人しか請求できない書類です。(亡くなった場合は、死亡申告後に代理人による請求可能)

各証明書の請求方法

  • 最寄りの韓国領事館にて本人が直接請求
  • 民団の場合は、韓国民団事務所へ依頼
  • 専門家にて代理取得

各証明書の請求権者は「本人・配偶者・直系尊属・直系卑属」です。兄弟姉妹は請求できませんのでご注意ください。

発給対象者と申請人の関係を立証する書類

・申請人が日本人の場合:日本の戸籍謄本
・申請人が韓国の家族関係登録簿(旧戸籍)に入っていない韓国人の場合:出生証明書など

当事務所がサポートできる業務

在日韓国人の死亡申告代行

日本で生まれ育った在日韓国人の方が日本で亡くなった場合、日本の役所に「死亡届」を出されると思いますが、同じく韓国領事館を通して、韓国側にも死亡申告をする必要があります。 日本の役所に死亡届を出すだけでは韓国では正式に死亡と認識されません。つまり、韓国への申告を怠ると、日本側では亡くなったことになっていても、韓国ではまだ生きていることになってしまいます。そのため、相続関係の手続きがスムーズに行かず、慌てて死亡申告するケースも多いです。 韓国への死亡申告には申告義務期間があり、義務期間を過ぎて申告する場合は提出書類が増えますのでご注意ください。 韓国の死亡申告について、詳しくはこちらをご確認ください。 当事務所には韓国人行政書士が在籍しており、必要な韓国の書類の代理取得から翻訳・申告書作成・申告代行など対応可能ですのでお困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

戸籍整理申請

死亡により発生する相続の手続きがうまく進まないケースの1つであるのは韓国の戸籍上、「家族関係が正しく登録されていない」、「登録事項が間違っている」場合です。被相続人や相続人の情報が各書類上一致しない場合は、同一人物としてみなされないため、手続きが止まってしまいます。その際に必要なのが「戸籍の整理」です。

よくあるケース

  • 被相続人(韓国人夫)が死亡し、相続人(日本人妻)が代理で死亡申告をしようとしたが、そもそも婚姻届を出していないケース
  • 日本で届出した出生年月日と韓国戸籍上の出生年月日が異なる
  • 被相続人(父)の相続手続きで相続人(子供)の書類を取得しようとしたが、韓国に戸籍がない

数えきれないほど、たくさんのケースがあります。それらは何らかの原因で情報が正しく登録されていなかったり、もしくは日本側の届出のみで韓国側には何ら申告をしていなかったりすることがほとんどです。将来、生じる相続手続きのために、現在の状況を見直してみませんか?相続が発生してからではなく、前もって各当事者の登録状況を確認することをおすすめします。

在日相続関連書類の翻訳(日本語⇔韓国語)

在日韓国人の相続手続きには通常のケースでも日本国内だけでなく、韓国側の情報をまとめた「たくさんの書類」が必要です。また、イレギュラーなケースでは、さかのぼって戸籍整理や申告等をしなければならなくなるため、数倍の書類取得や翻訳作業、手間が生じます。特に相続に関する書類は「正確性」が求められます。当事務所では、韓国領事館への各種申告書類の翻訳、日本の官公署に提出する韓国書類の翻訳など多数実績がございます。手続きがスムーズに行われるように丁寧かつ正確な翻訳を心がけております。

当事務所の強み

韓国人行政書士が在籍中

当事務所には在日相続専門の韓国人行政書士が在籍しており、ご依頼から翻訳、そして領事館での手続きまでワンストップ対応が可能です。他事務所とは異なり、事務所内で翻訳作業も行っておりますので、翻訳のみを別業者に頼まなければならないという費用と手間を省くことができます。

国内・海外問わず、豊富な提携先士業との連携作業

相続手続きは多種多様で複雑な行政への手続きが存在します。手続きの種類ごといろんな士業事務所に依頼することも多くなり、手間が増えてしまいます。 そこで、当事務所は士業ネットワークを通じて多くの士業(弁護士・司法書士・弁護士・税理士など)と業務提携を組んでおります。お客様の案件に対して、トータルサポートできる体制づくりをしておりますので安心してご依頼いただければと思います。

相続が発生した時に生じうる必要な手続き

  • 相続不動産の名義移転登記
  • 相続税の申告および納付
  • 相続不動産の売却
  • 遺産分割協議での交渉

特に、在日相続においては、場合によっては、韓国の銀行口座の解約/所有している韓国の不動産の売却・登記など韓国側の手続きも発生します。当事務所は日本国内だけでなく、韓国の法務士・行政士・税務士とも提携しておりますので、日本国内問わず、韓国での手続きもサポートいたします。相続手続きは専門家に依頼することで、円滑かつ正確に進めることができます。また、相続においては「事後サポート」はもちろ「事前サポート」も大事とされておりますので、「もしもの時の準備」をしておきたいという方はお気軽にご相談ください。