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宅建業 2024/7/19

宅建業の代表取締役、政令使用人、専任の宅地建物取引士の関係

法人が不動産業を開業する場合、宅建業の免許を受ける必要があります。
もちろん個人でも不動産の開業は可能ですが、ここでは割愛いたします。
その免許を受けるとき、株式会社の場合、少なくとも、代表者である代表取締役と専任の宅地建物取引士の存在が必要です。

代表取締役と専任の宅地建物取引士は兼任していても問題ありません。
1人不動産業というものを開業することも可能です。

専任の宅地建物取引士は、その名のとおり、必ず宅地建物取引士である必要があります。
もし、代表取締役に宅地建物取引士の資格がない場合でも、宅建業の開業は可能です。詳細はこちらの記事にありますので、ご確認いただければと思います。

また、代表取締役が別の会社の役員を兼務していて、開業予定の不動産業に常勤で従事できない場合でも、宅建業の開業は可能です。

今回は、そういったケースについて、代表取締役、政令使用人、専任の宅地建物取引士の関係に着目して記事にしたいと思います。

宅建業の代表取締役とは

代表取締役とはその名のとおり株式会社を代表する者のことを指します。持分会社である合名会社、合資会社、合同会社の3つの種類の会社の代表者は、代表社員と呼ばれています。
有限会社は現在新たに設立することはできず、現存の有限会社は特例有限会社として残っています。この会社の代表者は取締役です。特例有限会社に取締役が2名いて、そのうち1名だけが会社を代表する場合は代表取締役です。
これら代表者が、宅建業の免許申請の際、代表者に関する事項として免許申請書の第一面に記載します。

もし代表者が2名以上いる法人の場合、免許申請書の第一面に複数の代表者を記載することができませんので、誰か1名を宅建業における代表者として免許申請書の第一面に記載することになります。

代表者は、必ずその宅建業の「業務に従事する者」として扱わなければなりません。申請書の添付書類(8)宅地建物取引業に従事する者の名簿には、必ず代表者の記載が必要となり、従事する者の人数に含めます。

代表取締役が宅建業に常勤しない場合

代表取締役がほかの法人の代表者と兼任している場合で、申請対象の宅建業の代表取締役として常勤できない場合、本店には政令使用人を設置する必要があります。

例えば、建設業ではほかの法人の経営業務の管理責任者として常勤する必要がある場合、ほかの宅建業では代表者兼専任の宅地建物取引士として常勤する必要がある場合などが該当します。

この場合、別途政令使用人設置の誓約書を作成し提出します。

政令使用人とは

上記のとおり、本店に代表取締役が設置しない場合は、政令使用人を設置します。

政令使用人とは、その事務所の代表者で、契約を締結する権限を有する使用人のことをいいます。

そのため、本店に代表取締役が常勤しない場合は、その代表取締役の代わりに本店を代表する者として政令使用人を設置することになります。

また、ここで「事務所」とあるのは、政令使用人を設置が本店に限らないということを意味ます。

つまり、本店以外の場所に支店を設置した場合、代表取締役の常勤の有無にかかわらず、支店には必ず政令使用人を設置します。

政令使用人の要件としては、契約を締結する権限を有する使用人とありますので、後述する専任の宅地建物取引士である必要はありません。

もちろん、政令使用人と専任の宅地建物取引士を兼務することも可能です。

本店にて政令使用人を設置した場合は、免許申請書の第三面にある政令第2条の2で定める使用人に関する事項に記入します。本店にて代表取締役が常勤できる場合は空欄とします。

支店(従たる事務所)の場合、必ず記載します。

専任の宅地建物取引士とは

専任の宅地建物取引士とは、事務所ごとに専任の状態で設置しなければならない宅地建物取引士のことをいいます。

宅地建物取引士は、宅地建物取引士資格試験に合格後、宅地建物取引士資格登録をし、宅地建物取引士証の交付を受けている者を言います。合格しただけでは宅地建物取引士にはなれません。

宅地建物取引業には、従業者5人あたり1人以上の専任の宅地建物取引士が必要です。

上記の申請書の添付書類(8)宅地建物取引業に従事する者の名簿と従事する者の人数は、従業者5人あたり1人以上の専任の宅地建物取引士となるようにしなければなりません。

また、これらの人数は、申請書の添付書類(3)専任の宅地建物取引士設置証明書の人数と一致しなければなりません。

また、免許申請書の第三面にも専任の宅地建物取引士に関する事項の欄に記載します。

専任の宅地建物取引士とその専任性について

専任の宅地建物取引士は、「常勤性」と「専従性」の2つの要件を充たさなければなりません。
そのため、以下のような人は専任の宅地建物取引士にはなれません。

  • 他の法人の代表取締役、代表者又は常勤役員を兼任している場合
  • 他の職業に従事している場合
  • 他の個人業を営んでいる場合
  • 通常の通勤が不可能な場所に住んでいる場合
  • 監査役など当該業者の業務執行に従事できない場合
  • 在学中の大学生の場合
  • 勤務時間が営業時間の一部に限定された非常勤職員・パートタイム職員の場合

ただし、宅建業と専任宅地建物取引士の間の雇用関係は問わないため、宅建業者が明確に指揮命令下におけるのであれば、契約社員・派遣社員の専任の宅地建物取引士を設置することができます。
専任の宅地建物取引士となった場合、他の業者へ宅地建物取引士として従事できません。

まとめ

以下のケースについてまとめてみました。

1名株式会社で宅建業 代表取締役・専任の宅地建物取引士を兼務
代表取締役が取引士でない 代表取締役とは別の専任の宅地建物取引士を設置(最低2名)
代表取締役が常勤しない 代表取締役とは別の政令使用人を設置(最低2名)
政令使用人が取引士でない 政令使用人とは別の専任の宅地建物取引士を設置(最低3名)
支店を開設 支店に政令使用人を設置(最低1名)
支店の政令使用人が取引士でない 支店の政令使用人とは別の専任の宅地建物取引士を設置(最低2名)

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