特定活動(日系4世)外国人が妊娠をした場合
育成就労法が2027年4月に施行されることが正式に決まりました。
また、特定技能制度及び育成就労制度に係る制度の運用に関する基本方針において、妊娠又は出産に係る期間等を特定技能1号で在留することができる期間(通算5年)から除外する方向で見直しがされています。
では、特定活動(日系4世)にて在留する外国人が妊娠をした場合の取り扱いは、どのように考えるべきでしょうか?
特定活動(日系4世)の在留資格の要件とともに考えていきたいと思います。
特定活動(日系4世)の在留資格
この在留資格は、日系四世の方が、日系四世受入れサポーターの方からの支援を受けながら、日本文化及び日本国における一般的な生活様式の理解を目的とする活動をするためのものです。その活動には、日本語を習得する活動を含みます。
この活動を行うために必要な資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動をすることが可能です。
所定の要件を満たせば、通算して最長5年間、日本に滞在することが可能です。
特定活動(日系4世)の要件
- 年齢
- 18歳以上35歳以下
- 素行
- 申請人の国籍国又は日本に入国する前に居住していた居住国において犯罪歴がないこと
- 日本語能力
-
入国時
18歳以上30歳以下の場合
- 基本的な日本語を理解することができる能力を有していることを試験その他の方法により証明されていること(日本語能力試験N4相当)
又は
- 基本的な日本語をある程度理解することができる能力を有していることを試験により証明されていること(日本語能力試験N5相当以上)
31歳以上35歳以下の場合
- 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる能力を有していることを試験により証明されていること(日本語能力試験N3相当以上)
更新時
- 通算して1年を超えて在留するとき
→ 基本的な日本語を理解することができる能力を有していることを試験により証明されていること(日本語能力試験N4相当以上(入国時に試験その他の方法により証明されている場合を除く。)) - 通算して3年を超えて在留するとき
→ 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる能力を有していることを試験により証明されていること(日本語能力試験N3相当以上)
- 生計維持
- 預貯金や入国後の就労の見込みも含め、入国後の生計維持が担保されていること
- 帰国旅費
- 帰国旅費が確保されていること
- 健康
- 健康であること
医療保険に加入していること - 家族
- 家族を帯同しないこと
妊娠により本人の在留資格はどうなるか?
この日本においては、妊娠をしたことによって現在の在留資格が取り消しの対象になる、ということはなく、まずは妊娠をした本人を尊重して、在留を継続するか、帰国をするか、を本人により判断がされるようです。
もし、在留を継続する場合は、引き続き、現在の在留資格に該当する活動を行う必要があります。
妊娠又は出産に係る期間等を「特定活動(日系4世)」で在留することができる期間(通算5年)から除外するかどうかは、現在のところ、判明はしておりません。
生まれてきた子どもの在留資格はどうなるか?
生まれてきた子どもの在留資格は、夫の状況によって判断が分かれます。
夫が日本で就労できる在留資格であるとき
この場合、夫を本体者として、生まれてきた子どもを家族滞在の在留資格取得許可申請をすることになるかと思われます。在留資格の取得申請は出生の日から30日以内にします。その場合、住民票の写しの提出が必要となりますので、先に出生届を市区町村にする方が良いかと思います。
夫に在留できる在留資格がないとき
この場合、「特定活動(日系4世)」の在留資格の家族として、夫を日本に呼び寄せることはできません。
なぜなら、「特定活動(日系4世)」の在留資格には、「家族を帯同しないこと」という要件があるからです。
「特定活動(日系4世)」の在留資格では家族を呼び寄せることはできないので、夫は、自分自身で在留できる何かしらの方法を確立させなければなりません。それがなければ夫は日本に在留することはできません。
そして、生まれてきた子も同様に、「特定活動(日系4世)」は「家族を帯同しないこと」という要件のもと、取得できる在留資格がないので、継続して日本に在留することはできません。この場合、60日までは在留できますが、60日を超えて在留すると退去強制事由に該当することになるので、通常は、母子ともに帰国をすることが望ましいのではないかと思われます。
まとめ
特定活動(日系4世)の在留資格は、最長5年の在留資格が認められており、一定の要件を満たせば、5年の在留期間後に定住者への資格変更が認められる場合もあります。
ただし、特定活動(日系4世)にて在留する間は、さまざまな要件があり、それらを満たさなくなると在留を継続できないということもあり得ます。
そして、その要件の1つとして「家族を帯同しないこと」がありますので、たとえ、妊娠をし、子どもが生まれてきたとしても、その子どもには在留資格が該当せず、出生後60日以内に帰国しなければなりません。
ただし、夫が日本に就労できる在留資格があるのであれば、子どもを家族滞在として在留を継続させることは可能です。夫に在留資格がなければ、子どもは在留を継続することはできません。
2025年10月現在でこのような運用ではありますが、将来、見直しがされ、制度が変わる可能性がありますので、当法人としても、引き続き入管庁の制度運用に注視を続け、変更点などが見つかりましたら、このブログにて掲載をできればと思います。