宅建士の資格がない代表取締役が宅建業者になる方法
宅建業免許が必要な取引とは?
自社の新たな事業として不動産の取引を行いたい場合には、自らが賃貸をする場合を除いて、宅建業の免許が必要となります。
自らが賃貸をする場合とは、マンションやビルを自らで購入して、それを第三者に賃貸することをいいますが、この場合は宅建業の免許は不要です。
では、それ以外の取引、つまり、物件を購入して売却をする場合や、他人の所有する物件に入居者を探して仲介をするような場合には、前述のとおり宅建業の免許が必要です。
取引には、売買、賃貸、交換があり、その態様には、自己、媒介(仲介)、代理があります。自己(自ら)賃貸以外の取引とその態様については全て宅建業の免許が必要と宅地建物取引業法で定められております。これは、宅建士試験の定番問題でもあり、よく出題されます。
宅建業には必ず宅建士が1名以上必要
宅建業には必ず宅建士が1名以上必要です。厳密にいうと、一つの営業所につき宅建業に従事する人数5人に対し1名の宅建士が必要となります。
宅建業に従事する人数を6名にしたい場合は、宅建士が2名以上必要となるわけです。宅建業に従事する人数を5で割って、端数を切り上げる計算をすれば、必要な宅建士の人数が計算できます。
そして、この要件を満たせれば、宅建業の免許を取得することが可能です。
宅建業の免許申請をする事業者の多くは、自身が法人の代表を務め、かつ、宅建士であることという要件のもとで申請をしますが、代表者が宅地建物取引士でない場合があります。
法人の代表者が宅地建物取引士でない場合
法人の代表者が宅地建物取引士でないということは、別に珍しいことではありません。特に従業員数の多い会社では、このような傾向にあるのではないかと思います。
逆に、新たに法人を設立して宅建業を営もうとする新規業者に関しては、法人の代表者が宅地建物取引士を兼任していることが多いです。
もし、宅地建物取引士でない法人の代表者が宅建業を開業したい場合、どのようなことが必要となるのでしょうか?
それは簡単な話です。宅地建物取引士である従業者を設けることです。ただし、この宅地建物取引士は専任である必要があります。
この専任の宅地建物取引士というのは、常勤である必要があります。
「常勤」というのは、フルタイムで勤務することをいうようです。フルタイムでの勤務であれば、雇用形態は特に問われません。この常勤性の確認方法として、社会健康保険の保険証や雇用保険被保険者証の写しを用います。
この専任の宅地建物取引士がいれば、法人の代表者が宅地建物取引士でなくても大丈夫です。
ただし、上記のとおり、一つの営業所につき宅建業に従事する人数5人に対し1名の宅建士が必要となりますが、宅地建物取引士でない代表者はこの宅建業に従事する人数にカウントしなければなりませんので、法人の代表者が宅地建物取引士でない場合、宅建業に従事する人数は最低2人になる点に注意が必要です。
まとめ
法人の代表者が宅地建物取引士でない場合でも、宅建業の開業は可能です。ただし、専任の宅地建物取引士を設ける必要があります。この専任の宅地建物取引士は常勤である必要があります。この常勤性は、社会健康保険の保険証などで確認します。宅地建物取引士でない代表者であっても宅建業に従事する人数に含めなければならないので、宅建業に従事する人数は、専任の宅地建物取引士を含め最低2人になります。
このように、法人の代表者が宅地建物取引士でない場合でも宅建業の開業は可能ですが、法人の代表者が別の会社の代表者を兼任している場合や、法人の代表者がその別の会社で常勤している場合、また、専任の宅地建物取引士になる予定の人が一級建築士を兼任している場合など、特殊な形態で宅建業の免許申請をすることもあり得ます。
こういった場合に、不慣れな人が免許申請書を作成して県の窓口へ提出してみたけど受け付けてもらえなかったなど、よくある話です。
もし、宅建業を開業したいけど免許申請書の作成に不安がある方は、ぜひ宅建業の免許申請を得意としている当事務所にご依頼いただければと思います。
宅地建物取引業免許申請書と添付書類の収集や作成、宅地建物取引業保証協会へ加入手続きを含めて対応可能です。
また、取締役や監査役など役員が複数人いる場合などの特殊ケースにも柔軟に対応しております。
宅地建物取引業免許申請については、ぜひお気軽にご相談ください。